こんにちは、Atsushiです。前回の記事では、意志力に頼らないで習慣を作ることが大事だという話をしました。今回はその中でも特に大きな壁になる「意思決定疲れ」について詳しくお話しし、どうやって乗り越えられるかを説明します。
毎日の仕事や家庭で、何を食べるか、どの仕事を優先するか、どこに家族を連れて行くか、そうした小さな選択を積み重ねると、ある時ふと「もう何も決めたくない…」と感じることはありませんか?
それが「意思決定疲れ」です。ここでは、意思決定疲れがどのように起こり、どのような影響を与えるのか、そしてその解決策を詳しく見ていきます。
意思決定疲れとは何か?
意思決定疲れとは?
意思決定疲れとは、一日に多くの選択や判断を繰り返すことで、脳がエネルギー切れを起こし、最終的に判断が鈍くなる状態を指します。私たちの脳は、日々の小さな選択もエネルギーを使って行っているため、選択の回数が増えるほど疲労が溜まり、最終的には重要な決断にも悪影響を及ぼします。
フロリダ州立大学の研究
フロリダ州立大学のロイ・バウマイスター博士による研究では、意思決定疲れは「意志力を消耗させた結果」だとされています。この研究によると、一日の中で多くの選択を繰り返すと、後の重要な判断が鈍くなり、結果的に不適切な選択や決断をしやすくなることが確認されました。
第1回の記事でもお話した通り、私たちは1日に平均して35,000回もの決断を下しているとされています。驚くべき数字です!
日々の小さな決断が、どれほど私たちの脳に負担をかけているかがわかります。これらの負担が積み重なることで、私たちの大事な決断に影響を及ぼし、仕事や生活に悪影響を与えることがあります。
意思決定疲れを感じる場面は?
「意思決定疲れ」と聞いても、ピンと来ないかもしれませんが、日常生活の中で思い当たる場面がいくつかあるかもしれません。例えばこんな経験はないでしょうか。
- ・仕事や家事をあれこれとこなすうちに、集中力が削られ、午後や夕方まで集中力が続かない
- ・夕食のメニューを考えるのが億劫になってしまう
- ・週末の過ごし方を決めるののが面倒、もしくは、選択肢がたくさんで選べない
これらはすべて「意思決定疲れ」の典型的なサインです。私たちは無意識のうちに多くの決断を行い、その度に脳が疲弊していきます。
意思決定疲れの主な原因
1.情報が多すぎる
インターネットやSNSの普及により、私たちは常に新しい情報にさらされています。
SNSを開けば膨大なコンテンツが流れてきて、何を見るべきか、何を信じるべきかを瞬時に判断しなければなりません。このように情報が多すぎると、脳は常に「どれを選ぶべきか」と働き続けて疲れてしまいます。
2.選択肢が多すぎる
現代社会では、選択肢が豊富にあることがメリットとされがちですが、選択肢が多すぎると逆に私たちの脳は混乱します。
たとえば、スーパーマーケットで同じ種類の商品が何十通りも並んでいると、最適なものを選ぶこと自体、脳の負担になっています。
3. 意思力の消耗
意思決定には「意志力」が必要です。日々の小さな選択を重ねることで、私たちの意志力は消耗していき、重要な決断を下す際にその力が残っていないことがあります。
つまり、日々の小さな決断が、いざというときの重大な意思決定の邪魔をしているのです。
意思決定疲れの影響:なぜこれが問題なのか?
意思決定疲れが進行すると、私たちの日常生活や仕事の生産性に直接良くない影響が出ます。
1.生産性の低下
何度も決断を下すことで脳が疲れてくると、集中力が低下し、結果的に簡単な作業でも多くの時間をつかってしまうことになります。
例えば、ボーっとしててメールの返信に時間がかかったり、集中が続かず「今、何やってたんだっけ?」となってしまうことがありませんか。
2.ストレスの増加
意思決定を繰り返すことで、心理的なストレスも増大します。
常に選択を求められることで、休まることがなく、疲れやイライラがたまり、幸福感が低下してしまいます。
3.判断の質の低下
重要な決断を急いで行ったり、考えずにとりあえず楽な選択肢を選ぶようになります。結果として、本来なら避けたい選択をしてしまい、後悔することも増えてしまうのです。
決断を先延ばしする原因にもなります。
大事な仕事の判断や、家族との予定調整など、後回しにすればするほど他のタスクも積み重なり、ますます意思決定疲れが悪化するという悪循環に陥ることがあります。
私の場合は、決断の先延ばしが多いです。旅行の宿や飛行機などを「今、疲れてるからあとで・・・。」とした結果、予約が埋まってしまいとれないという苦い経験を何度もしました。
意思決定疲れを防ぐための3つの対策
どうすれば意思決定疲れを乗り越えて、習慣をもっと簡単に作れるのでしょうか?ここでは、意志力を節約するための3つの戦略をご紹介します。
1. 選択を固定化して判断を減らす
意志力を節約するためには、毎日の選択をあらかじめ固定することが効果的です。
例えば、スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグが実践していたように、「毎日同じ服を着る」という習慣は、日々の小さな選択肢を減らし、エネルギーを温存するための一つの手段です。朝食や通勤方法を固定化することも、朝一での意思決定を減らし、意思力を節約するのに役立ちます。
2. 選択肢をあらかじめ絞る
選択肢を減らすことも、意思決定疲れを防ぐための有効な手段です。
例えば、家族との夕飯のメニューをあらかじめ決めておく、もしくは二択に絞るだけで、選ぶ負担を大きく軽減できます。「今日はパスタとカレー、どっちがいい?」というように、選択肢を限るだけでも、意思決定のストレスが減ります。
3. 意思力が減らない環境を作る
意志力を減らさないように環境を整えることも大事です。これは、習慣作りのカギでもあります。
例えば、健康的な食生活を続けたい場合、冷蔵庫に健康的な食材をたくさん入れておけば、ジャンクフードを買う機会を減らせます。運動を習慣にしたいなら、運動着を寝る前に準備しておくと、朝起きたときにすぐに運動を始められます。こうした環境を作ることで、意思力を使わずに行動がしやすくなります。
(おまけ)重要な決断は、朝に行う
意思決定疲れを防ぐ方法ではないですが、意思決定疲れが起こるという前提で重要な決断に意思力を使うというのも大事ですね。
脳のエネルギーが最も高いのは、朝の時間帯です。だからこそ、重要な決断は午前中に済ませるのが効果的です。重要な会議や発表、1人で頭の整理する時間など、重要なことは人それぞれですが、判断力が必要な業務はできるだけ午前中に集中させることをおすすめします。
習慣作りと意思決定疲れの関係
習慣を作る上で、意思決定疲れを理解してそれを乗り越えることはとても大事です。習慣は、自分を自動的に良い方向に導く「自動操縦モード」を作るためのものです。そのためには、意思決定の回数を減らして、自然と良い行動が取れる環境や仕組みを整えることが大切です。固定化や環境づくりといった工夫は、意志力を使わずに生活の質を良くするための強力な方法です。
意思決定疲れを乗り越えたらどうなる?
意思決定疲れを乗り越えて、習慣を作ることで、生活はびっくりするくらい楽になります。たとえば、朝起きたときに何をすればいいか悩まずに、すぐにやりたいことを始められたら、その日一日のスタートがポジティブなものになります。食事も、あらかじめ決めておいたヘルシーな選択肢があれば、ストレスなく健康的な食事を続けることができます。このように、良い仕組みを整えることで、成長がスムーズに進み、無理せず目標に向かって進めるようになります。
まとめ
- 意思決定疲れは、たくさんの選択や判断をすることで意志力が減ってしまうこと
- 固定化やあらかじめ選択肢を減らすことで、意思決定回数を減らして意志力を節約できる
- 意思力が減らない環境を作ることで、効率的に習慣を作れる
- 意思決定疲れを乗り越えると、生活はもっと楽になり、成長が自動操縦モードになる
意志力に頼らず、環境やルーチンを整えて意思決定疲れを乗り越えることが、成長と充実した生活のカギです。次回は「頑張らないで成功する環境設定」についてお話しします。無理に意志力を使わず、環境を整えることで自然と成功に近づく方法を紹介しますので、どうぞお楽しみに!